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タイのヒートストレス~養豚編~

タイのヒートストレス~養豚編~

先日、お客様の要望でタイ国チュラロンコン大学獣医学科の教授お二人をお招きして、養豚のヒートストレスWebセミナーを行いました。タイの主要な品種はダンブレッドが導入されており、猛威を振るったASF(アフリカ豚熱)の発生以降、インテグレート化が急速に進んだそうです。ASFは欧州だと猪のイメージがあったのですが蚊の媒介による感染を防ぐためタイでは、今ウインドレス豚舎が主流となっています。


タイは4月から10月までの期間、25度以上の暑い日が続きます(図)。

豚にとって快適な温度帯は18℃~25℃と言われ、豚は機能的な汗腺がなく、背部の皮下脂肪層が厚いため熱の放出が妨げられるためヒートストレスを受けやすいのです。腸管バリヤの損傷を引き起こし様々な病原菌リスクだけでなく、飼料を食べないことで食道部に潰瘍(胃潰瘍)が発生することもあります。

母豚は暑い日が多くなる5月から12月まで分娩時間が長くなります。分娩前7日間の平均気温が1℃上昇するごとに、分娩時間が4.3分延び、相対湿度が10%上昇すると21分長くなるという研究データもあります。母豚にとっても生まれてくる子豚にとっても分娩が長くなることは大きな負担であることが想像できます。また、母豚の産次数別に総産子数による影響は初産豚の方が経産母豚よりも顕著です。


営業担当者もヒートストレスに具体的な対策をお客様に求められることが多くなってきました。今回のセミナーでは「飲む水を冷やす」、「喚起を良くする」、「過密を避けスペースを確保する」などです。今できる対策としては「朝、夕など涼しい時間に飼料を給与する」ことと思いました(図)。


当社が扱っている商品は栄養的切り口から、お客様の課題解決に向けたご提案をさせて頂く機会が多いです。しかし、ヒートストレスは環境やマネージメントが最重要であり、全体像を理解した上で推進すべきと感じました。

この話題は年々重要性が増しているトピックの一つなので、このようなセミナーで違う国の状況を知ることは貴重な機会でした。ちなみに、養豚でのヒートストレス対策の推進商品はガスターBP70(酪酸)です!