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ブロイラー種鶏における飼養管理上のポイントと飼料面で考慮すべきこと

● ブロイラー種鶏メス雛導入羽数とコマーシャルブロイラー餌付け・出荷羽数の推移;
2024年のブロイラー種鶏メスは国産・輸入合わせて4,910千羽、前年対比で145千羽増加しているが、2011年の5,352千羽から8%以上(452千羽)減少している。一方で、コマーシャルブロイラーの餌付け羽数は2011年の664,611千羽から2024年の771,554千羽と16%以上(106,943千羽)増加しており(出荷羽数も同様)、種鶏1羽あたりの雛生産能力向上が顕著となっている。

図1

一般に増体と繁殖は相反する能力といわれている。遺伝的増体能力を有するブロイラー種鶏が産卵(種卵・雛生産)成績を高めてきていることから、育成段階から産ませるための手助けがより一層必要となっている。

● ブロイラー種鶏の生理反応と管理上のポイント:
育成から産卵開始について以下の図2にまとめた。

図2

育雛初期(0-2週令頃);
免疫系、心臓循環器系、肺、羽生の発達が始まり、続いて骨格系統、脂肪組織の発達がみられる。
➡7日令前後でコクシバック(コクシジュームワクチン)投与

2-6週令頃;
筋肉・骨格が急速に発達し、それに伴う代謝上の発達がみられる。また、この時期に移行抗体が消失する。
オスでは、セルトリ細胞の発達がみられる。
➡育成鶏の斉一性を高めるために4週令頃にグレーディングが行われる。
➡グレーディング以降、体重コントロール主体の給餌が行われる

6-10週令頃;
直線的に成長する期間で、筋肉は急速に発達し骨格は引き続き発育する。
オスのセルトリ細胞は継続的に発達。
➡体重コントロールに基づく給餌が行われる。

10-15週令頃;
発育速度は比較的緩慢となり、12週令頃に骨格の95%が完成。性成熟準備のホルモン生産量増加、生殖器官の発達がみられる。
➡体重コントロールに基づく給餌が行われる。

15週令-産卵開始;
産卵開始前4週くらいから卵巣・卵管が急速に発達し、性ホルモン作用で産卵に向けたエネルギー蓄積、脛骨や大腿骨での骨髄骨形成とCa蓄積がみられる。
15週令以降オスでの精巣発達が促進される。光線刺激後の3週間に精巣の著しい成長がみられる。光線刺激は精子生産開始ホルモンの分泌刺激により性成熟を促進し、精巣サイズを劇的に増加させる。
➡20週令頃に配雄が行われる。
➡体重コントロールに基づく給餌が行われ、産卵開始前には光線刺激によるホルモン蹴り込みに加え飼料増量で産卵を刺激する。

産卵開始以降について以下の図3にまとめた;

図3

産卵期前半の産卵立ち上り及びピーク期間は、体重は発育過程にあり卵重も増加している。産卵期後半には、産卵は漸減し、体重および卵重は増加を続け、卵殻質は低下していく。
体重および卵重推移を確認し飼料(エネルギー)給与量の適正化を図る必要がある。飼料(エネルギー)過剰は過肥となり、その後の産卵に悪影響をもたらす。飼料(エネルギー)不足は先ず卵重低下として現れ、その後体重減や産卵への悪影響をもたらす。

★ 卵重測定:毎日測定。集卵が一日に複数回ある場合は、同じ回(例えば二回目)に決めて集卵する。一回目は重くなる傾向があり、毎日異なる回で測定すると卵重推移の実態を把握できなくなる。

★ 体重測定:生産期に入ってもサンプル鶏による定期的な体重測定が求められる。メス増体ピークは産卵ピーク前に現れ、その後漸増するのが望ましい。エッグマスのピークを過ぎたら、過肥を避けるためメスへの飼料(エネルギー)給与量の減量を開始する。オスは30週令前に成熟体重に到達し、その後も漸増することが望ましいい。

また、卵殻質は孵化率に影響することから、定期的な卵殻質チェックも推奨する。

★ 卵比重測定(非破壊検査)による卵殻質チェック:
水、食塩及び比重計で1.08の食塩水を調製し、種卵を投入、浮遊卵と沈降卵の比率をチェックする。検査後は種卵として孵化に供する。
ROQUEとSOARES (1994) は、27-31、40-44、55-59週令の種鶏群から採取した種卵を卵比重1.08以下(≦1.08:浮遊卵)と1.08より大きい(>1.08:沈降卵)2グループに分けて孵化成績を調査した結果を報告している。

図4
図5

比重1.08以下の種卵(浮遊卵)は中止卵が多く孵化率が低くなる傾向を示している。(図4,5参照)

★ 雌雄別給餌における盗み食い
配雄後の雌雄別給餌が普及している。メス用給餌樋にメスの頭は入るが、オスは入らない幅のグリルを装着し、オス用給餌ホッパーはメスが届かない高さに設置する方法が一般的。これが適正に行われないと、メス・オスが互いの餌を盗み食いすることになる。配雄率は10%程度であり、オスがメス用給餌樋から盗み食いしても問題とはなりにくいし、グリルに頭の入るオスはほとんどいないであろう(当初グリルに入ってもすぐに入らなくなる)。一方、メスがオス用給餌ホッパーから盗み食いした場合は問題となる。オス用給餌ホッパーは1個当たり10羽程度を想定されており、そのホッパーが(メスが届かない)適正な高さでないと、かなりのメスが盗み食いすることになり、オスにとってエネルギー供給不足という大問題となる。筆者も、雌雄別給餌で鶏冠が退色し動きの悪いオスを見かけた際、別飼いして給餌すると回復したケースを経験している。メスの盗み食いによるエネルギー供給不足が招いたものと推察された。

★ オス種鶏の受精能力には体重だけでなく肉付き(堅い胸張り)が重要
オスは30週令前に成熟体重に到達させその後も漸増するのが望ましく、同時に脂肪過多でない肉付き(堅い胸張り)が求められる。28-30週令で精巣発達及び精液生産量はピークを迎え、35週令以降、精巣重量や精子生産における自然減衰、それに伴う受精率低下が生じる。
POWLEY (2008) は、最適受精率を得るには体重だけでなく肉付きが重要であること、過肥や痩せすぎのオスにおいて精巣退行が顕著で、35週令以降の体重と肉付き維持が受精率低下緩和に重要であると述べている。(表1参照)

表1

また、良好な受精種卵を得るために以下をツールとして先を見越した管理手法をとることを推奨している;
・ 肉付き:脂肪過多でない堅い胸張りが望ましい
・ 給与飼料量:飼料給与時に以下を観察
➡雌雄別給餌でのメスの盗み食い
➡給餌配分状況
・ 体重
・ 配雄率
・ オス種鶏群の斉一性
・ ベント(総排泄口)のサイズ、湿気、色
・ 顔色

★ メス種鶏による受精率低下要因:
オス種鶏の能力だけでなく、メス種鶏のオスへの受容性が受精率に大きく影響する。
メス種鶏が過肥になると、産卵への悪影響のみならず、下腹部に脂肪が蓄積され交尾体制が取りにくくなり、結果として受精率低下をもたらす。また、メス種鶏の羽根被覆が不十分であるとオスに対する受容性が低下し受精率に悪影響を及ぼす。不十分な羽根被覆は育成・種鶏段階を通じての羽生やツツキ行為によるもので、要因として、飼料配分、栄養レベル(飼料設計)、1羽当たりの飼料量及び飲水量、飼育密度、給餌スペース、飲水スペース、床面管理、腸管健康/鶏病、鶏への不適切な取扱い、配雄過多(オーバーメイティング)、品種などがあげられる。

● 推奨される飼料体系と考慮すべき点;
育種会社マニュアルの完成度は高く、基本的にはこれに準ずることを推奨する。

0-14日令:幼雛用(餌付け用/プレスターター)
基本的考え方はコマーシャルブロイラーの餌付け用と同様だが、コクシバック(コクシジュームワクチン)効果を妨げる抗コクシジューム剤の配合は避けねばならない。

15-42日令:幼雛用兼中雛用(スターター)・・・公定規格で4週令まで幼雛用、それ以降中雛用
蛋白・アミノ酸など採卵鶏幼雛用と同等レベルの内容だが、エネルギーレベルは中雛用並みに抑え調整給餌しやすくする。また、羽生時期における栄養的ギャップを避けるため次の飼料への切り替え時期を42日令頃にする。

43-105日令:中雛用兼大雛用(グロワー)・・・公定規格で10週令まで中雛用、それ以降大雛用
ブロイラー種鶏の増体能力が高く、好きなだけ食べさせると体重はへたすると6Kg以上にもなり種鶏としての機能が失われてしまう。産卵のための体重コントロールは不可欠で、飼料中エネルギーを可能な限り低減化した体重コントロールしやすい飼料が望ましい。実用的には2600KCal/Kg辺りが望ましい。
MEあたりの栄養素を一定としてMEレベルを下げていくと、トン当たりの飼料コストはあるレベルで最低となり、その後上昇する(図6)。また、トン当たりコストは下がっても必要エネルギー摂取のための飼料量が増加し1羽当たりの飼料コストは上昇する。

図6;MEレベルと飼料コスト(¥/㌧)模式図

★ グロワー飼料から切り替える際の留意点
実用的には2600KCal/Kg辺りが望ましいと上述したが、105日令で次の飼料(例えば2800KCal/Kgプレブリーダー)に切り替える場合、飼料給与量は増加あるいは最低でも同量給与し、減量することは避けるべきである。105~106日令の切り替え時、1羽あたりのエネルギー給与量は増加させるが、その増加割合以上にグロワーとプレブリーダーの飼料中エネルギーに格差があると、1羽当たりエネルギーは増加したにもかかわらず飼料量が減る可能性がある。この場合、切り替え数日間はグロワーとプレブリーダーの混合使用することを薦める。

106日令-155日令:産卵開始:大雛用(産卵開始前用/プレブリーダー)・・・公定規格で大雛用
性成熟と産卵準備での極めて重要なステージで、この時期に発育段階を無事完結するためにプレブリーダー給与を推奨する。飼料内容は基本的に種鶏用と同等の栄養レベルで、Caレベルのみ種鶏用の半分程度に抑えた内容が望ましい。
産卵開始4週間ほど前から脛骨や大腿骨に骨髄骨形成しCaを蓄積する。このCaは産卵期の卵殻形成のための貯金となる。この期間でのプレブリーダー給与を推奨する。加齢とともに卵殻質は低下するが、産卵初期に高めておくと後半もある程度の卵殻質を維持でき、結果として孵化率への寄与が期待できる。
さらに、グロワーが2600KCal/Kgと低いMEであれば、2800Kcal/Kgのプレブリーダー使用は生産段階への円滑なエネルギー移行を可能にし、飼料量の微増、適正な体重増、均整の取れた胸筋構成及び脂肪蓄積を促進する。

156日令~:種鶏飼育用(ブリーダー)
種卵生産、孵化率に影響する卵殻質維持に加え雛質に配慮した栄養レベルが求められる。
1種類のブリーダー飼料を最後まで給与するケースが大半であるが、産卵後半(50週令~)は、生理的に産卵漸減、卵重増(過大卵増)、卵殻質低下などが生じる。このことから、前期・後期の二段階給与も普及している。

★ ブリーダー後期用で考慮すべき点:
・前期用から後期用飼料への切り替えギャップで産卵に悪影響が出る可能性がある。切り替え数日間は前期・後期用の混合使用でギャップを軽減する。
・飼料給与量は漸減過程にあり、1羽当たりの栄養必要量を維持できる飼料内容にする。
・卵殻質維持のためCaやビタミンD3レベルを高め、有効Pを下げる。
・飼料内容とエネルギー給与量で適正範囲での卵重微増を維持すべきである。低蛋白・低アミノ酸飼料による無理な卵重コントロールは結果として産卵低下を招く可能性がある。

156日令~:オス種鶏用飼料
メス種鶏用と同レベルのMEでCP:11-13%、Ca:0.8-1.0%、有効P:0.4%が推奨されている。
オス用別給餌器利用の概念が1980年代初期にUSで導入されて以降、オスへの低CP・低Ca飼料給与が繁殖成績に有益であることが報告されている。WILSONら(1987)は、12-14%のCP含量飼料を与えたケージ飼育のオスの精液生産量はCP16或いは18%の飼料よりも多かったことを報告している。LOPEZら(1995)はCP16~10%の飼料を給与したところ、CP16%群で無精卵率が有意に高く、10%群で卵重及び雛体重が有意に低くなったことを報告している。(表2参照)

表2

SILVEIRAら(2014)は、28週令以降一連のメス用飼料に替えてオス用飼料を給与された群は、受精率及び孵化率で有意な改善を示したことを報告している。(表3,4参照)

表3
表4

TYLERら(2021)はケージ飼育Ross308オスに4飼料処理(CaとCP両者に低及び高レベル)を組み合わせた給与試験を実施した結果、精子品質において飼料処理の影響はなかったが、高Ca(3.04%)給与は精子濃度に悪影響を与え、特に高CP(14.7%)と高Ca(3.04%)のメス用飼料で生じたことを報告している。
一連の報告は、雌雄両者にメス用飼料を給与すると受精率に悪影響を及ぼす可能性があり、オス種鶏にはオス専用飼料給与が望ましいことを示唆している。

一方で、ブロイラー種鶏用飼料需要はメスベースで年間25~30万㌧、配雄率10%とするとオス用は2.5万㌧かそれ以下と推察され、オス用飼料を検討する際には先ずもって物流上の課題を解決することが必要となる。


【参考文献】
農林水産省「畜産統計」
一般社団法人日本種鶏孵卵協会「種鶏孵卵統計情報」
Cobb500 First Feather Breeder, Management Supplement
Ross Parent Stock, Management Handbook 2023
Ross308 Parent Stock, Nutrition Specification 2021
LOPEZ, G. & LEESON, S. 1995. Response of Broiler Breeders to Low-Protein Diets. Poultry Science 74:685-695
POWELY, J. 2008. Good fertility starts with good tests development, World Poultry Vol.24 No.9, 16-17
ROQUE, L. & SOARE, M. C. 1994. Effects of Eggshell Quality and Broiler Breeder Age on Hatchability, Poultry Science 73:1838-1845
SILVIERA, M. M., A. FREITAS, C. MORAES, F. GOMES, F. LITZ, J. MARTINS, N. FAGUNDES, & E. FERNANDES. 2014. Feeding management strategy for male broiler breeders and its effects on body weight, hatchability, and fertility. Braz. J. Poult. Sci. 16(4):397-402
TYLER, N. C., M. NAMNTU, & M. CIACCARIELLO. 2021. Research Note: The effect of crude protein and calcium intake on fertility of male broiler breeders. Poult. Sci. 100:101284.
WILSON, J. L., G. R. MCDANIEL, and C. D. SUTTON. 1987. Dietary protein levels for broiler breeder males. Poult. Sci. 66:237-242.

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