養豚・養鶏情報 技術アドバイザー
🐓 養鶏の技術情報
レイヤー用飼料プログラム・・・育成の重要性について
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採卵成鶏飼養動向;
飼養戸数は小規模経営を中心に減少傾向で推移、2024年は鳥インフルエンザの影響等もあり、1,640戸となった。
一方、成鶏めす飼養羽数は2014年以降増加していたが、新型コロナや鳥インフルエンザ等の影響により2021年以降減少傾向が続いている。2024年は増加に転じ約1億3千万羽となった。
規模別でみると、成鶏飼養羽数10万羽以上層は、飼養戸数の21.3%であるが、成鶏飼養羽数の割合では全体の81.1%以上を占めており、経営の大規模化が進んでいる。また、1戸あたりの飼養羽数は2024年79.1千羽で年々増加傾向にある。

採卵養鶏生産規模拡大に伴う課題;
生産規模拡大に伴い大規模育成農場が必要となり、コスト面を考慮した環境コントロール可能な高密度多段式飼育システムが普及してきた。このようなシステムで推奨羽数より多く収容した場合、鶏が十分に飼料摂取できないおそれがある。
最近ではアニマルウェルフェアの観点からアビアリーシステムやエンリッチドケージシステムの採用がみられている。
産卵鶏育種改良による課題;
育種の方向は、産卵性能、卵重、卵質及び飼料要求率改善に向けられている。飼料要求率の改善は、産卵期間中の経済性に効果をもたらすが、育成期間中に鶏は少ない飼料量で高産卵に耐える体作りを強いられる。更に、初期の飼料摂取意欲は以前より低下し、目標体重達成を困難にする虞が生じている。育成鶏の仕上がりが産卵期間の成績に大きく影響を与え、僅かな成績反応が収益に大きく反映する。
育成段階における目標体重達成の重要性;
収益性の更なる改善は、鶏種に加え適正な飼料プログラムの選択による目標体重の達成にある。育種会社(鶏品種)によって当然目標体重は異なるが、目標体重を達成する事の重要性において共通である。
育成体重の影響;
18週令目標体重が産卵性、食下量、卵重分布に及ぼす影響を示した。


上図では、18週令目標体重を達成した適正体重(1.35Kg)の群(右から二つ目)は良好な産卵成績をもたらしている。18週令体重の小さい群(1.05~1.25Kg、左の三つ))は飼料摂取量・産卵成績とも低い。一方で、18週令時点で適正体重を大きく上回る(1.45Kg)群(右端)では産卵成績は良好であるが、その後の体重増で維持エネルギー要求量が高まり飼料摂取量が増加した。
下図では、18週令育成体重が卵重分布にも影響し、産卵期間の成績・経済性にとって重要であることを示唆している。
性成熟時に体躯の小さい鶏群は以下の特徴を有する;
• 成熟しても依然として小さい
• 産卵個数が少ない
• 卵重が小さい
• 飼料摂取量が少ない
• 脱肛が多い
• 産卵ピーク後の産卵落ち込み現象を引き起こしやすい
産卵ピーク後の落ち込み現象;
この様な現象は主に目標体重に到達していない場合に生じる。産卵ピーク後しばらくして日卵量のピークとなるが、産卵の落ち込み現象はこの日卵量ピークの時期と重なっている。育成段階で目標体重に到達していない鶏群は蓄積エネルギーも少なく、産卵ピークに向けてそのエネルギーを使い果たしてしまい、更に飼料摂取量も少ないことから産卵ピーク時点でエネルギー不足となりピーク後の産卵落ち込み現象を招くことになる。(右図赤色ライン参照)
また、鶏群体重や性成熟の斉一性が低い場合には個体ごとのピーク時期がバラつくことで産卵ピークは低くなり遅れが生じる。(下図黄色ライン参照)

飼料プログラム;
育種会社によって推奨育成飼料給与プログラムは以下のとおり多様である。育種会社は、その鶏品種の能力を発揮出来る、言い換えるとその鶏品種の欠点を補う為の飼料プログラムを推奨していることになる。

鶏の生理的発達を考慮すると実用的には以下の飼料プログラムを推奨したい。
• 餌付用;0~14/21日令
初期のバラツキを低減化、体組織形成・増体及び免疫応答を促進し、2ないし3週令の目標体重に到達させる。
• 幼雛用;15/22~42日令
体組織の形成を促進し、発育速度を早めて首尾良いスタートをさせることで6週令目標体重に到達させる。
• 中雛用;43~84日令
骨格発育の95%が完了する12週令頃までに体重・骨格・内蔵ともに発育標準に到達させる。
• 大雛用;85~105/126日令
余分な体脂肪をつけさせない状態で17、18週令の目標体重に到達する。産卵開始への発育を完了させる。
• 産卵開始前用;106/127日令~産卵開始
卵巣卵管機能の充実、卵殻質維持の為の骨髄骨形成、産卵ピーク期間のエネルギー蓄積及び育成用飼料から産卵ピーク用飼料への切り替えの円滑化等に寄与させる。17-18週令から初産時まで給与。(実用的には17週令から1.5Kg或いは18週令から1Kg給与。)
成鶏用については、鶏の生理、栄養要求に適合した食下量に基づく飼料プログラムが望ましい。
• ピーク期間:遺伝能力を発揮させ、産卵ピークを高めると同時に卵重をのせる。
• ポストピーク期間:ピーク期間の生産性を持続させ、卵重過大を防ぎ卵殻質を維持することで、収益を高める。
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