養豚・養鶏 技術情報 技術アドバイザー
🐓 養鶏の技術情報
ブロイラーにおける飼料形状について (その1)
家禽における摂餌行動と消化過程
鶏の消化器系は短く、非常に効率的である。
・鶏は先ず食物を発見したら凝視し接近して嘴でそれを捕らえ、触覚細胞によりそれを受け入れるか拒否するかを判断する。この判断は、味蕾の数は少ないものの、反射性と味覚に基づいている。嗅覚については鶏がそれを有する証拠は示されていない。
・食物は少量の唾液とともに丸ごと飲み込まれ(嚥下)、食道を通って素嚢に至る。素嚢では食物繊維が柔らかくなり、乳酸によって食物は酸性化される。
・素嚢から、食物は胃酸とペプシンを分泌する哺乳類の胃に最もよく似た臓器である腺胃へと送られる。
・その後、食物はリズミカルに収縮して内容物の厚みを下げる強力な筋肉を有する臓器である筋胃へと送られる。
・筋胃以降、食物は蠕動収縮によって腸の各部を通過し、この段階で消化と栄養吸収が行われる。消化は、小腸と大腸の接合部に位置する盲腸でもある程度行われ、大腸は水分の吸収を担っている。ここから糞便は総排泄腔へと移動し排泄される。
加工(ペレット・クランブル)飼料給与
摂餌行動に嘴を利用するため、鶏にとっては微粉より粒状が啄みやすいことから、ペレットやクランブルなどの加工飼料給与が普及したのはうなずける。
いくつかの研究では、マッシュ給与と比較した加工飼料(ペレット・クランブル)給与によるブロイラーへの効果(影響)が報告されている;
✔成績改善:増体、FCR、枝肉歩留等の改善が報告されている。

✔活動エネルギー節約:McKinneyら(2004)は、38日令ブロイラーに様々な品質のペレット飼料を与えた場合の成長成績と行動特性を検討し、マッシュ給与と比較しペレット給与により摂餌頻度は減少したが、飼料摂取量は増加し(摂餌毎の摂取量が多い)、休息頻度も増加したことを報告している。

また、休息頻度増加に伴う消費エネルギー節約に関して、マッシュに対する効果をペレット品質100%(微粉0%)で187KCal/Kg飼料、品質低下した20%(微粉80%)で76KCal/Kg飼料と評価している。

✔消化管の発達:十二指腸での絨毛が高くなり陰窩が深くなることが報告され(Dahlkeら2003、Zangら2009)、消化率向上の可能性が示唆された。一方で筋胃重量低下も報告されている(Engbergら2002)。
✔腸内菌叢:Engbergら(2002)は、増体とFCR改善に加え、回腸や消化管の遠位端における菌叢変化及び盲腸での微生物発酵に伴う揮発性脂肪酸(VFA)濃度が高かったことを報告している。
上記以外にも、栄養密度の均一化、嗜好性向上、糞量減少、飼料衛生改善、物流改善などが期待される。
ペレット品質(耐久度)とブロイラーの反応
前述の効果もペレット品質(耐久度)が低いと期待できない。
Kenny(2008)は、トウモロコシ・大豆粕ベースのペレット飼料をハンマーミルで粉砕し、0.5mm以下の微粉とペレットを混合して、100%ペレット、50%ペレット・50%微粉、100%微粉の飼料をブロイラーに給与した。35日令の生体重で50%微粉を含むペレットは4.8%、100%微粉飼料は20.8%低下し、FCRで50%微粉を含むペレットは4.9%、100%微粉飼料は6.1%悪化したことを報告している。

ペレット品質に及ぼす要因
ペレット化加工は、水分、圧力、温度を組み合わせた機械的作用によって配合された飼料粒子を凝集させることで、飼料の栄養成分、原料の粒度、コンディショニングの温度と時間、水分など、多くの要因がペレット品質に影響を与える可能性がある。
Bennie(1996)は、ペレット品質への影響を飼料原料以外の要因で分類し、コンディショニングと粉砕がそれぞれ33%を占め、次いで圧力、冷却・乾燥であることを報告している。

Reimer (1992) は、小麦主体の飼料を用いてペレットの耐久性に対する各種要因の影響を調べ、飼料設計による影響が40%と大きく、次いで加熱コンディショニング、ペレット圧縮ダイの仕様、冷却/乾燥プロセスと分類した。

一方、Muramatsu (20153)は、トウモロコシ・大豆粕ベース飼料におけるペレット品質に対するさまざまな要因間の相互作用の影響を評価した。それら要因は、粒径(743 µmおよび1,041 µm)、熱処理(コンディショニング→ペレット化またはコンディショニング→膨張→ペレット化)、水分添加レベル(飼料1 kgあたり水0、7、14、21 g)、脂肪添加レベル(飼料1 kgあたり脂肪15、25、35、45 g)を含んでいる。すべての要因の影響をモデル化した結果、加熱処理(コンディショニング)がペレット品質変動の44%を占めており、本研究条件下ではペレット品質改善の効率的手段は、コンディショニング後の飼料の膨張で、続いて水分添加レベル増加、油脂添加レベル制限、粒子サイズ低減化であることを報告している。

✔トウモロコシと小麦の糊化温度:
小麦の糊化温度52~54℃が他原料と比較して低くいことからペレットバインダーとしても配合される。また、大麦もまたペレット化に寄与している。一方、トウモロコシは糊化温度が70~75℃と高く、ペレット化しにくい原料である。小麦ベース飼料に比べトウモロコシ・大豆粕ベース飼料はペレット品質を維持するのに手間をかける必要があろう。

✔原料中脂質含量、飼料中油脂添加量:
脂質はデンプン顆粒の膨潤を阻害することで知られている。トウモロコシは小麦の約2倍の脂質を含むことから、小麦と比較してトウモロコシが糊化しにくい要因の一つと言えよう。
また、飼料への油脂配合もペレット品質に影響し、McKinneyとTeeter(2010)は油脂配合率を高めるとペレット品質を低下させることを報告している。

✔タンパク含量:
糊化反応中にタンパク質がデンプン顆粒に近くに存在すると、タンパク・デンプン重合体が形成され、飼料の粘度を高めてペレット化に効果的である。
Briggsら(1999)は、蛋白レベルが高く脂肪レベルが低いとペレット耐久度を高めるが、飼料中脂肪(原料中脂質+添加油脂)含量が7.5%を超えるとペレット耐久度が著しく低下することを報告している。

ペレット形成後の油脂アフターコーティングはペレット品質維持に有効である。
ペレットバインダーの利用:
飼料設計上小麦粉配合で対応することが多いと考えられるが、必要に応じてバインダー(リグノスルホン酸、CMC、ゼラチンなど)を配合するケースもある。Winowski(1988)はリグノスルホン酸1%配合によるペレット耐久度改善効果は小麦20%配合に匹敵することを報告している。

また、Wamsleyら(2014)は、リグノスルホン酸0.5%使用により良質なクランブルを製造するだけでなく、製造能力を維持して消費電力量を12.5%削減したことを報告している。
トウモロコシ・大豆粕主体飼料の日本において、ペレット・クランブルの耐久度を上げる目的で小麦10%配合した場合、残りの90%で配合設計をやりくりすることになる。コスト見合いであるが、設計の柔軟性からみてもペレットバインダーを使用する方が理にかなっていると考えられる。
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