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ブロイラーにおける飼料形状について (その2)

ペレットあるいはクランブル化における課題

ペレット・クランブル化には多くのメリットが挙げられているが、課題もある。

✔製造コスト増:
ペレット製品にはその加工費がかかる。さらにクランブルはペレット化したのち適度な粒度に砕く工程が加わり、ペレットに加工費が上乗せされる。ペレット・クランブル給与による成績改善効果がコスト増を吸収しさらに収益を出せるかがポイントとなる。

✔ビタミン安定性への影響:
飼料添加されたビタミンはペレット化の蒸煮加熱工程にさらされる。コンディショニング条件で差はあるが、ある程度の損耗が生じる(下表参照)。ビタミンCやビタミンK3を除くと10%程度の損耗で、添加レベル増でカバーする必要がある。鶏はビタミンCを体内合成することから不足はないと考えられるが、最近は熱安定商材もあり不足の虞がある夏場のヒートストレス下で利用可能である。ビタミンK3にもコーティング商材がある。

✔飼料用酵素への影響:
Evansら(2021)は、ペレット化によるフィターゼとキシラナーゼの安定性(残存相対活性%)への影響を調査し、以下の結果を報告している。

Saensukjaroenphonら(2019)は、ダイの保持時間がペレットの品質とフィターゼ(Trichoderma reesei株由来)の安定性に及ぼす影響を検討した結果、ペレットミルの機種、ダイの厚さ及びダイの保持時間に関わらず、フィターゼの残存活性は、ペレット品温189°F(87.2℃)で70%以上あったが、195(90.5℃)~211°F(99.4℃)の高温ペレットでは、フィターゼの安定性は10%以下と著しく低下したことを報告している。
現状、ほとんどのブロイラー飼料でフィターゼ酵素が利用されている。酵素蛋白は熱変性しやすいが、予め失活分を見込んで配合するか、熱耐性酵素使用やペレット化後の液体タイプのスプレー添加などが検討される。

✔筋胃歩留り減少:
ブロイラーへのペレットあるいはクランブル給与でネガティブな点は、マッシュ給与と比較して筋胃歩留りが15~25%ほど低くなることである。これは、消化吸収改善により筋胃負担が軽減されたことに起因する。原料粉砕粒度を荒目に調整することで程度は改善されるが、限界があろう。英国でグレインバランサーと称する全粒小麦とペレットとの混合物給与が推奨されたことがある。日本でも荒目部分の穀類主体マッシュとペレットあるいはクランブルを混合した飼料(M&C:マッシュ&クランブル或いはM&P:マッシュ&ペレット)供給で対応しているケースもある。
飼料(マッシュ、ペレット、クランブル、ペレット&マッシュ、クランブル&マッシュ)給与の際は、成績や正肉歩留りなどの改善メリットと筋胃歩留り減デメリットを考慮する必要がある。

✔突然死症候群による死亡率増加:
Proudfootら(1982)は、クランブル・ペレット飼料給与で増体・FCR改善は認められたが、突然死症候群による雄鶏での死亡率が有意に高かったことを報告した。
一方で、Neetesonら(2023) は、近年のブロイラーの育種ゴールにおいて健康と福祉(脚の健康、心肺機能、生存率、深胸筋症)が重視されており、脚の健康と循環器機能の選抜を通じて年間0.2-1.0%の生存率改善を報告している。

日本におけるペレット普及状況

農水省の飼料月報2024年度集計結果から試算した畜種別のペレット飼料比率を下図に示した。(このペレットにはクランブルも含まれているかもしれない。)

ペレット普及状況は、ブロイラー用で35%、子豚・肉豚用で35~50%で示し、他は10%台かそれ以下であった。

ブロイラー飼料におけるペレット化比率推移を下図に示した。7-8%だったペレット比率が20年経過してようやく35%になっている。

筆者の経験では、ブロイラー飼料に限ると、米国、欧州、東南アジアなどにおいてほぼ100%ペレット(前期用にクランブルのケースが多い)でマッシュ製品はほとんど見られなかった。この日本との相違の理由は、生産システム、飼料原料、加工コスト、ペレット品質、ペレット化効果などの要因が複合的に関係すると推察する。

★ 日本で流通しているブロイラー後期用・出荷前専用飼料のMEレベルはマッシュで3250~3300Kcal/Kgと海外に比べ相対的に高いと推察する。このレベルでは飼料への油脂添加は5%以上になるであろう。
後期用・出荷前専用飼料の形状とMEレベルがFCRに及ぼす影響を模式図で示した。MEレベルが高くなるとFCRは改善され、ペレット化によりさらに改善される。改善効果はMEレベルが低いと大きく、高くなるほど小さくなる。

MEレベルが高まれば、コストは上昇(ペレットにはさらに加工コストが加わる)し、油脂添加量も増えることで耐久度維持が困難になり、ペレット化による成績や収益性における改善効果が得られない可能性がある。

★ 孵化後の雛に摂食刺激を与えるため、少なくとも、餌付用には良質なクランブル、前期用には良質なクランブル或いはペレット飼料を与えることを推奨する。

育種改良によりコマーシャルブロイラーの日増体量は高まり、出荷日齢が短縮化されてきている。その結果、餌付飼料及び前期飼料の占める割合が増加している(2008年~2022年の14年間で10.8%%増加)。

生産性における初期発育の影響度合いが以前より格段に大きくなっている。

最近のブロイラー飼料形状

農水省の調査分析委託事業(家禽飼料の形状銘柄数の割合)に興味深い結果が示されている。

6飼料工場の調査結果であるが、ブロイラー飼料においてペレットはみられない。ブロイラー前期で50%がクランブル(幼雛用は61%)であった。ブロイラー前期の38%、後期の58%がマッシュで、マッシュ以外の加工処理でクランブル&マッシュ、エキスパンダー&マッシュが主体という結果であった。マッシュ製品に比較して、成績改善効果及び筋胃歩留りの維持が期待できる、或いはペレットと異なり添加物等の農場添加がしやすいことなどが理由として推察される。

Dhakalら(2025)は、ペレット&マッシュ(粗割穀物)飼料とペレット飼料を用いた実験を行った結果、ペレット&マッシュ(粗割穀物)飼料給与は、ペレット飼料と比較して、
・飼料摂取量および増体量を低下(P < 0.05)した
・筋胃及び内容物の相対重量を増加(P < 0.05)した
・FCRおよび回腸におけるデンプンとタンパク質の消化率に影響を与えなかった
ことを報告している。また、ペレット&マッシュ(粗割穀物)飼料給与による成績低下は、飼料摂取量問題や粒子選択に関連しており、結果として栄養摂取の不均衡につながった可能性を示唆している。

クランブル、ペレットのみならず、ペレット&マッシュ、クランブル&マッシュ、エキスパンダー&マッシュのいずれにおいても、使用するペレット或いはクランブルの品質が低い(粉化率が高い)と飼料摂取量や栄養の均等摂取に影響し、満足な成績改善効果は得られないものと考えられる。


【参考文献】
農林水産省「飼料月報」
農林水産省「令和5年度国内における配合飼料銘柄に係る調査分析委託事業の結果概要」
農林水産省「鶏の改良増殖をめぐる情勢」令和6年、令和1年
COELHO, M.B., : Effect of processing and storage on vitamin stability, Feed International Dec.1991, 39-45
DHAKAL, S., HETLAMD, H., and SVIHUS, B., : Effect of grinding method and extent of pelleting of broiler diets on performance, feeding behaviour and digestive tract functionality, British Poultry Science 2025, Vol. 66, No. 2, 227–237
EVANS, C.E., SAENSUKJAROENPHON, M., GEBHARDT, J.T., STARK, C.R., and PAULK, C.B., : Effects of conditioning temperature and pellet mill die speed on pellet quality and relative stabilities of phytase and xylanase, Transl. Anim. Sci. 2021.5:1-10
NEETESON, A.M., AVENDANO, S., KOERHUIS, A., DUGGAN, B., SOUZA, E., MASON, J., RALPH, J., ROHLF, P., BURNSIDE, T., KRANIS, A., and BAILEY, R., : Evolutions in Commercial Meat Poultry Breeding , Animals 2023, 13, 3150
PROUDFOOT, F.G., and HULAN, H.W., : Effects of Reduced Feeding Time Using All Mash or Crumble-Pellet Dietary Regimens on Chicken Broiler Performance, Including – the Incidence of Acute Death Syndrome, 1982 Poultry Science 61:750-754
SAENSUKIJAROENPHON, M., EVANS, C.E., JONES, C.K., FAHRENHOLZ, C.H., PAULK, C.B., and StTARK, C.R., ; Effect of Die Retention Time on Pellet Quality and Phytase Stability of a Corn Soybean Meal Swine Diet, Kansas Agricultural Experiment Station Research Reports: Vol. 5: Iss. 8.,2019

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